「自動詞」と「他動詞」の違いをご存知の方は多いと思いますが、「完全動詞」と「不完全動詞」という分け方があるのをご存知でしょうか。両方の使い方をする動詞があり、意味が変わる場合もあるので注意が必要です。
問題
空欄に適切な語を入れましょう。
1. He came ( ).
微笑みながら
2. He came ( ).
幸せそうに
解答は最後にお伝えします。
自動詞と他動詞
まずは自動詞と他動詞の確認をしておきましょう。
自動詞とは目的語(O)を必要としない動詞
(目的語が必要な場合はその前に前置詞が必要)
文型は、第1(S+V)、第2(S+V+C)
他動詞とは目的語(O)を必要とする動詞
文型は、第3(S+V+O)、第4(S+V+O+O)、第5(S+V+O+C)
ですよね。
目的語(O)とは
目的語は動作の対象となる語です。
I like English. (like の対象となるのがEnglish)
このように自動詞と他動詞の区別は「目的語」がポイントです。
完全動詞と不完全動詞
完全動詞とは補語(C)を必要としない動詞
(補語がなくても、文が成り立つ動詞)
文型は、第1(S+V)、第3(S+V+O)、第4(S+V+O+O)
不完全動詞とは補語(C)を必要とする動詞
(補語がないと、文が成り立たない動詞)
文型は、第2(S+V+C)、第5(S+V+O+C)
補語(C)とは
補語(C)の位置に来る単語は、別の単語の説明をしています。
第2文型 (S+V+C) の補語は主語(S)の説明をしています。
(主格補語とも呼ばれます)
He is busy. (he がbusy)
My father is a writer. (my father が writer)
第5文型(S+V+O+C)の補語は目的語(O)の説明をしています。
(目的格補語とも呼ばれます)
I found him honest. (him が honest)
She named her son Taro. (her son が Taro)
このように完全動詞と不完全動詞の区別は「補語」がポイントです。
同じ単語が完全動詞としても不完全動詞としても使われる場合があります。
come
完全動詞 「来る」
He came here yesterday.(S+V)
(here と yesterday は副詞なので、文の要素になりません)
不完全動詞 「~になる」
His dream came true. (S+V+C)
(夢がかなった)
つまり、動詞の後にどんな単語が続くかで(別の言い方をすると、どの文型かで)意味が変わります。
解答と解説
1. He came ( smiling ).
2. He came ( happily ).
1. の smiling は分詞で、形容詞の働きをし、補語として主語の説明をしています。
通常「来る」という意味の come は完全動詞です。つまり補語が続くことはありませんが、分詞が続くことはあります。
2. 「来る」という意味の come は完全動詞なので、happy のような形容詞が続くことはありません。この場合、副詞の happily が正解です。
つまり
完全動詞と共に様子などを表したい場合は、形容詞ではなく副詞を用いるのが一般的ですが、分詞は例外的に(形容詞でも)完全動詞の後に補語として続けることができます。
まとめ
1.動詞には、補語を伴う動詞(不完全動詞)と伴わない動詞(完全動詞)がある。
2.ただし、分詞を形容詞として使う場合、完全動詞の後に補語として分詞を伴うこともある。
おまけ
補語について習ったとき、S = C とか O = C などと習った方も多いと思いますが、そのように書かなかったのには理由があります。
最近はこのような書き方ではなく、補語は主語や目的語を「修飾している」または「説明している」と書かれている文法書を多く見かけます。「S=C、O=Cのような書き方は間違っています」と書かれているわけではありませんが、もしかすると、「=」を使うことを避けているのかもしれません。「名詞=名詞」は問題ないのですが、厳密には「名詞=形容詞」はおかしいですよね。
個人的に、補語をどう説明しているかも、文法書を選ぶ際の基準にしています。(S=C と書いてあるからダメというわけではありませんが、書いていない場合は、好印象です)
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