今回は「完全自動詞」と「不完全自動詞」に注目してお伝えします。
まずは簡単に文の要素と文型、および完全自動詞と不完全自動詞について確認しておきましょう。
文の要素
英語の文は、主語(S)、述語動詞(V)、目的語(O)、補語(C)の4つの組み合わせで成り立っています。
この4つを文の要素と呼びます。
文の要素をより詳しく説明するため、修飾語句が使われることもあります。
文型について
英語の文は、語順で主語や目的語などの役割を判断します。
述語動詞の後にどの要素がどの順で続くかによって5つの型に分けられますが、それを5文型と呼びます。
どの述語動詞を使うかで、どの文型をとるかが決まります。
(一つの動詞が複数の文型をとることが多い。)
自動詞と他動詞、完全動詞と不完全動詞について
その動詞が目的語を必要とするかしないか、補語を必要とするかしないかによって、次にように分けられます。
注)一つの動詞がどれか一つに当てはまるわけではありません。
自動詞:目的語を必要としない動詞 (第1文型、第2文型で使われる動詞)
他動詞:目的語を必要とする動詞 (第3文型、第4文型、第5文型で使われる動詞)
完全動詞:補語を必要としない動詞 (第1文型、第3文型、第4文型で使われる動詞)
不完全動詞:補語を必要とする動詞(第2文型、第5文型で使われる動詞)
今回は、完全自動詞(第1文型で使われる動詞)と不完全自動詞(第2文型で使われる動詞)に注目してお伝えします。
問題
次の文が正しいか間違っているか考えましょう。
間違っている場合は正しい文に直しましょう。
1. She remained silently.
2. She looked excited.
3. He was walking sad.
4. She came singing.
5. She was sitting happy.
6. She was standing surrounded by a lot of children.
7. She remained standing silent.
解答と解説
ここ大事!
通例、分詞は形容詞と同じように使うことができますが、動詞によっては分詞は補語にとっても形容詞は補語にとらない動詞があります。
次の動詞は完全自動詞で、補語がなくても文が成り立ちます。
ところが、分詞は「~しながら」という意味で補語として続けることができます。
come / stand / walk/ sit / lie
1. ✖ She remained silently.
→ She remained silent.
remain が「~のままである」という意味で状態などを表す際は不完全自動詞なので補語が必要
→ 副詞の silently を形容詞 の silent に変更。
2. ○ She looked excited.
look は不完全自動詞なので補語が必要
→ 形容詞の役割をする excited が補語として続いている。
★look の後に続くのは形容詞のみです。excited のように、動詞の役割をなくし形容詞として使われている分詞形容詞を続けることは可能ですが、通例、動詞の役割を持つ通常の分詞を使うことはできません。
通常の分詞と分詞形容詞の主な違い:
通常の分詞は一時的な様子
分詞形容詞は本質的な特性
詳しくはこちら↓を参考にしてください。
3. ✖ He was walking sad.
→ He was walking sadly.
walk は完全自動詞なので補語は不要
→ 形容詞の sad を修飾語(副詞) の sadly に変更。
補足
walk は完全自動詞なので補語は不要ですが、分詞は例外。
○ He was walking singing.
4. ○ She came singing.
「来る」という意味の come は完全自動詞なので補語は不要ですが、分詞は例外。
→ 現在分詞の singing が補語として続き、「~しながら」という動作を表す。
5. ✖ She was sitting happy.
→ She was sitting happily.
通例 sit は完全自動詞なので補語は不要。
→ 形容詞の happy を修飾語(副詞) の happily に変更。
★ただし、sit still のように特定の形容詞を伴って「~の状態で座っている」という意味を表すこともあります。その場合の sit は不完全自動詞です。
補足
sit は完全自動詞なので通例補語は不要ですが、「~しながら」という意味で分詞を伴うことが可能。
○ She was sitting singing.
6. ○ She was standing surrounded by a lot of children.
通例 stand は完全自動詞なので補語は不要ですが、分詞は例外。
過去分詞の surrounded が補語として続き、「~されて」という動作を表す。
★ただし、「~の状態である(✖立っている)」という意味で stand empty のように形容詞を伴うこともあります。その場合の sit は不完全自動詞でbe動詞に置き換えることができます。
7. ✖ She remained standing silent.
→ She remained standing silently.
「~のままである」という意味の remain は不完全自動詞なので補語が必要
→ 形容詞の役割をする現在分詞の standing が補語として続き、「~しながら」という動作を表す。
→ 形容詞の 役割をする現在分詞の standing を修飾するので、形容詞の silent を副詞の silently に変更。
まとめ
自動詞か他動詞か(目的語が不要か必要か)に注目することは多いですが、正しく発信するためには完全動詞か不完全動詞か(補語が不要か必要か)の区別も大切ですので、意識するようにしましょう。
また、完全自動詞でも、分詞は補語として続ける動詞があることも覚えておきましょう。
こちら↓も参考にしてください。