小学校での英語の授業、英検受験の低年齢化、入試に英語の試験を導入する中学校のニュースなど、英語教育に関する情報が多いなか、いつ、どんな風にお子さんの英語教育をスタートさせればいいのかと悩まれているお父さん、お母さんもも多いことと思います。
色々な意見があると思いますが、私が納得した意見の一部を引用し紹介しますので、参考にして頂ければ幸いです。
小学校でなぜ英語?―学校英語教育を考える (岩波ブックレット)
- 作者: 大津由紀雄,鳥飼玖美子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/03/20
- メディア: 単行本
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この本↑から一部抜粋(今は中古本しか販売されていません)
さて、それでは小学校ではいったい何をしたらよいのでしょうか。
まず、何よりも大切なのは、言語に対する意欲と感性を磨くことです。
これは「教えて覚えさせる」といった単純なことでは身に付きません。
ー略ー
「ことば」に対する感性を育てていかねばなりません。
さらに、「自分が思っていることを話したい」という意欲を育て、「自らの考えをまとめて、話す」という体験を積んで言語コミュニケーションを習得していくということです。
ー略ー
子どもが自分の考えを伝える訓練をする「言語技術教室」を主宰する三森ゆりかはつぎのように述べています。
「国際化でまず必要なのは、小学校から英語を教えることではなく、論理的に考え、母国語でしっかり表現できるようにすること。
この基礎がなくては、外国語を学んでも使えない。」
ー略ー
幼児期から児童期にかけては、まずは心を育てることが肝要でしょう。
言語はいわば人間そのものの表れですので、心がまっとうに育つことほど大切なことはありません。
そういう意味で、心を育み人格を形成していくのに重大な役割をはたすのは、母語です。
英語よりも何語よりも、まずは母語教育が必須でしょう。
そのような人間としての基礎作りを考えたら、英会話教育などは、二の次、三の次だといえます。
そんなことをいっても、これからの子どもたちは将来、国際的な場で活躍していかねばならないのだから、小学校で何もしないわけにはいかないだろう、という反論もあるでしょう。
そのような意見も理解できますので、国際的コミュニケーションを闊達に行うための基礎として、小学校で実施できること、教育できることを二点あげておきます。
ー略ー
まず、ことばを使って意思疎通をはかる意欲を小学校段階で身につけさせるよう工夫するべきです。
言語の価値が低い「察し」の文化で育った人間が、言語にこそ価値をおいて主張する文化と渡り合うことはきついものです。
しかし多文化時代に生きる日本人は、言語を駆使して主張し、説得し、発信していかなければなりません。
日本語で説得力がないのに英語で外国人と丁々発止やりあうことなど不可能です。
英語といわず、まず母語から、言語感覚を磨く必要があるでしょう。
同時に必要なのは、自分と異なったもの、異質なものに対する柔軟で開かれた心を養うことでしょう。
これは、21世紀が文化の多様性を前提にした世界であることを考えると、不可欠な教育です。
鳥飼玖美子さんは同時通訳者や翻訳者などとして活躍され、NHKの教育番組でもとても分かりやすく英語を教えてくださっていました。
鳥飼氏の意見は論理的でとても説得力があります。英語学習法に関する著書も多く、いつも参考にさせていただいています。
必ずしも親も英語を学習する必要はないと思いますが、子どもと(母語で)積極的に話をすることや、子どもの年齢に合う良書を選んであげることは大切なのではないかと思います。
どんな習い事でもそうだと思いますが、英語教室に通わせる場合も、子どもが楽しんでいるかどうか、親の押し付けになっていないか、などもチェックポイントだと思います。
お読みいただき、ありがとうございます。
こちら↓は子どものうちに習った方がいい場合とそうでない場合について、それから子どもの英検受験についての過去記事です。よろしければ、参考にしてください。