今回は分詞の「意味上の主語」についてお伝えします。
文の中で果たす役割によって、単語は8または10の品詞にグループ分けされますが、品詞の中でも「動詞」はとても重要な役割を持っています。その動詞が形を変えた、動名詞、不定詞、分詞の3つまとめて「準動詞」と呼ばれています。
分詞には、動詞に~ing のついた現在分詞と、主に~edのついた過去分詞の2種類があります。分詞は形容詞と副詞の役割をしますが、今回は形容詞の役割をする分詞についてお伝えします。
問題
次の英文の分詞の意味上の主語は誰/何でしょう。
1. Look at that girl playing tennis over there.
2. He has a watch made in Italy.
3. She came singing.
4. The door remained closed.
5. I had my purse stolen.
6. I had my bag carried to my room.
7. I saw him crossing the street.
解答と解説
現在分詞(~ing)か過去分詞(~ed)かは、意味上の主語との関係で決まります。
分詞の元の動詞が「他動詞」の場合
能動の関係なら現在分詞
受動の関係なら過去分詞
分詞の元の動詞が「自動詞」の場合
進行中や状態を表す場合は現在分詞
完了を表す場合は過去分詞
1. Look at that girl playing tennis over there.
playing tennis over there は girl を修飾 (または説明) しています。
分詞 playing の意味上の主語は girl です。
girl が play(他動詞) するという能動の関係なので現在分詞が使われます。
2. He has a watch made in Italy.
made in Itay は watch を修飾(または説明) しています。
分詞 made の意味上の主語は watch です。
watch が make(他動詞) されるという受動の関係なので過去分詞が使われます。
1. と 2. のように、形容詞が名詞の前後で名詞を修飾する用法を 「限定用法」といいます。
3. She came singing.
4. The door remained closed.
3. と 4. は SVC の第2文型で、 C(補語) は S(主語) の説明をしています。
この文型の C に分詞が使われる場合、分詞の意味上の主語は文の主語と同じです。
3. の主語の she が sing(自動詞) している(進行中)ので現在分詞が使われます。
4. の主語の door が close(他動詞) されるという受動の関係なので過去分詞が使われます。
5. I had my purse stolen.
6. I had my bag carried to my room.
7. I saw him crossing the street
5. 6. 7. は SVOC の第5文型です。
第5文型の C(補語) は O(目的語) の説明をしています。
この文型の C に分詞が使われる場合、分詞の意味上の主語は文の目的語です。
5. は purse が steal (他動詞) されるという受動の関係なので過去分詞が使われます。
6. は bag が carry (他動詞) されるという受動の関係なので過去分詞が使われます。
7. は him が cross (他動詞) するという能動の関係なので現在分詞が使われます。
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3. ~ 7. のように、形容詞が補語として用いられる用法を「叙述用法」といいます。
比較 1
5. I had my purse stolen.
6. I had my bag carried to my room.
両方とも動詞に have を使っていますが、それぞれの意味は以下の通りです。
5. の have は「被害」の意味
6. の have は「~してもらう」という意味
比較 2
7. I saw him crossing the street.
8. I saw him cross the street.
8. の cross は原形不定詞と呼ばれます。
see / watch / look at / hear / listen to / notice / observe などの動詞は知覚動詞と呼ばれ、O との関係が能動(他動詞)または進行中(自動詞)の場合、C (補語) の位置に現在分詞または原形不定詞を置きます。違いは以下の通りです。
7. 現在分詞:途中または一部を見た
つまり「渡っている途中を見かけた」
8. 原形不定詞:最初から最後まで見た
つまり「渡り終えるまで見た」
この2つの違いを「知らなかった~」と驚かれる人が結構多いです笑。
補足
どの動詞も現在分詞と原形不定詞の2パターンがあるわけではなく、例えば jump などのような短時間で動作が終了する動詞の場合は、原形不定詞を用いるのが自然です。
注意
知覚動詞以外にも、SVOC の C の位置に現在分詞を用いる動詞は以下の通りです。
catch / find / have / get / keep / leave / like / want など
ただし、使役動詞の make と let は原形不定詞は用いますが、現在分詞は用いません。
また、第5文型で用いる動詞の多くは、C(補語) の位置に過去分詞を用いることができますが、 let はできないので気をつけましょう。
動詞や状況によって、C (補語) の位置にどの準動詞を用いるかが異なるので注意が必要です。
こちら↓も参考にしてください。