文法が難しいと感じる理由の一つに、文法用語がわからないということもあるかもしれませんね。今回お伝えする「譲歩」も難しい用語の一つだと思います。今回は英文法における「譲歩」とは何を表しているのかについてお伝えします。
問題
次の文の意味を考えましょう。
1. I have to go on a business trip though I do not want to.
2. I refused the job offer though the salary was good.
3. We went out for shopping even though the typhoon was approaching.
4. Whichever you choose, I will help you.
5. Wherever I go, I will never forget you.
6. They played soccer in spite of the rain.
7. Though a little discouraged, I felt satisfied with the effort.
文の意味とよく見かける解説
1. I have to go on a business trip though I do not want to.
行きたくありませんが、私は出張に行かなくてはいけません。
よく見かける解説:
though は「~だけど」という「譲歩」を表します。
2. I refused the job offer though the salary was good.
給料はよかったのですが、私はその仕事の申し出を断りました。
よく見かける解説:
though は「~だけど」という「譲歩」を表します。
3. We went out for shopping even though the typhoon was approaching.
私たちは台風が近づいてきていたけれど、買い物に出かけました。
よく見かける解説:
even though は「~だけど」という意味で、evenが「譲歩」を表す though を強調しています。
4. Whichever you choose, I will help you.
あなたがどちらを選ぼうとも、私はあなたを助けます。
よく見かける解説:
whichever のような複合関係代名詞は「~しようとも」という「譲歩」を表します。
5. Wherever I go, I will never forget you.
(私が)どこへ行こうと、私はあなたのことを忘れません。
よく見かける解説:
wherever のような複合関係副詞は「~しようとも」という「譲歩」を表します。
複合関係代名詞と複合関係副詞については、こちら↓を参考にしてください。
6. They played soccer yesterday in spite of the rain.
彼らは昨日雨にもかかわらずサッカーをしました。
よく見かける解説:
in spite of は「~だけど」という「譲歩」を表します。
7. Though a little discouraged, I felt satisfied with the effort.
少しがっかりしましたが、私は結果に満足しました。
よく見かける解説:
この分詞構文は「譲歩」を表します。
「譲歩」とは
国語辞典によると、一般的に「譲歩」とは
『自分の意見や主張を、全てまたは一部押さえて、相手の意向に従ったり妥協したりすること』
ところが
上の英文でこれに当てはまるのは、1. だけです!
2. 3. 6. は妥協せず、自分の考え通りに行っており、日本語の「譲歩」とは逆の行動をとっています。
その他も「妥協する」という意味ではありません。
こことても大事!
つまり、文法用語で使う「譲歩」は一般的な「譲歩」の意味とは異なります。
共通する意味は、以下の2つです。
① ~だけど
② たとえ~しようとも
英語の「譲歩」が表す内容は主に次の2つです。
① 「逆説」「対立」
② 「強調」
文法で使う「譲歩」は日本語が表す「譲歩」とは違う意味で使われることが多いため、混乱し難しいと感じるのだと思います。
また、「逆説」と「強調」という別の状況を「譲歩」という言葉でまとめるのも無理があると思います。
ちなみに、私も昔は「譲歩」という表現を使って説明していましたが、最近は①「逆説」または「対立」②「強調」などと説明するようにしています。
文法書などで「譲歩」という表現が見つかったら、この2種類のどちらかに置き換えて考えると分かりやすいはずです。
お読みいただき、ありがとうございました。
よろしければこちら↓も参考にしてください。
お勧め書籍↓