今回は動名詞と不定詞の違いについてお伝えします。
動名詞も不定詞の名詞的用法も、動詞を名詞に変化させたものなので共通点が多く、同じように使える場合もありますが、使い分ける必要がある場合もあります。
特に、動名詞と不定詞が動詞の目的語になる場合には注意が必要です。
動名詞と不定詞のどちらを、または両方とも目的語にとることができるかは、動詞によって決まっており、次の4種類に分けられます。
1.動名詞のみを目的語にとる動詞
2.不定詞のみを目的語にとる動詞
3.両方とり、ほとんど意味が変わらない動詞
4.両方とり、意味が変わる動詞
今回は 4. の動詞についてお伝えします。
問題
次の英文の意味を考えましょう。
1. I remember being surprised at her answer.
2. Please remember to water the flowers.
3. I will never forget visiting the island.
4. He often forgets to take medicine.
5. They regret not saving money.
6. I regret to say that I cannot help you.
7. I tried moving the heavy wood table.
8. I tied to move the heavy wood table.
9. I am going to try moving the heavy wood table.
10. I am going to try to move the heavy wood table.
解説
remember / forget / regret / try は、動名詞も不定詞も両方とも目的語にとることができますが、意味が違います。
基本的な違いは次の通りです。
★ 動名詞は実行したことを表します。
★ 不定詞は実行していないことを表します。
注意
try は他の3つとは違うので注意が必要です。
解答
1. I remember being surprised at her answer.
私は彼女の返答に驚いたことを覚えています。
〈remember doing〉
~したことを覚えている
実行済
注意
being の時制は remember より前なので、having been とすることもできますが、覚えているのが過去のことなのは明らかなので、being とするのが一般的です。
2. Please remember to water the flowers.
花に水をやるのを忘れないでね。
〈remember to do〉
忘れずに~する、~することを覚えておく
未実行
3. I will never forget visiting the island.
その島を訪れたことは決して忘れないでしょう。
〈forget doing〉
~したことを忘れる
実行済
4. He often forgets to take medicine.
彼はよく薬を飲み忘れます。
〈forget to do〉
~することを忘れる
未実行
注意
日本語の「飲む」につられて drink を使わないようにしましょう。
drink は液体を口から直接飲むという意味です。薬を飲むときは通例 take を使います。
5. They regret not saving money.
彼らはお金を貯めなかったことを後悔しています。
〈regret doing〉
~したことを後悔する
実行済
6. I regret to say that I cannot help you.
残念ながらお役にたてません。
〈regret to do〉
残念ながら~しなければならない
未実行
注意
この意味では、原則として現在形で用い、「知らせる」という意味を持つ次のような動詞に限られます。
say / inform / tell
伝え始めた時点では未実行と考えることができます。
tryについて
多くの文法書には、動名詞が続く場合は「試しに~してみる」、不定詞が続く場合は「~しようとする」と訳されていますが、それだけでは違いがわかりにくいですよね。
try は実行済か未実行かの違いではなく、「難易度」と「結果と行為のどちらに焦点を当てるか」が違います。
説明が分かりやすいので、英英辞典で2つの違いをどのように説明されているかも紹介します。
〈try doing〉
(結果をみようと)試してみる
★ 結果に焦点
★ 簡単にできるニュアンス
try doing = to make an experiment / to do, use, or test something in order to see how good or successful it is
(実験をする / それがどれだけ良いか、または成功しているかを見るために、何かをやる、使う、テストする)
★ 過去形で使うと、実験を行ったということ、つまり実行済であることを表します。
★ 未来形で使うと、実験をしようとしているということ、つまり予定を表します。
〈try to do〉
(困難なことを)やろうと努力する
★ 行為に焦点(結果はわからない)
★ 困難なニュアンス
try to do = to make an effort to do something
(何かをやるために努力する)
★ 過去形も未来形も、(難しいことを)やろうと努力した[する]という行為を表し、結果は文脈次第です。
実際の文で try の使い方を確認しましょう。
7. I tried moving the heavy wood table.
私はその重い木製テーブルを動かしてみました。
過去形の〈try doing〉
試しに~をやってみた(実行した)
★ やってみた結果に焦点があるので、通例結果についての説明がこの後で続きます。
8. I tied to move the heavy wood table.
私はその重い木製テーブルを動かそうとしてみました。
(動かせたかどうかは不明)
過去形の〈try to do〉
(難しいことを)~しようと努力した(できたかどうかは文脈次第)
★ できたかどうかの結果より、動かそうとしたという行為について伝えています。
9. I am going to try moving the heavy wood table.
私はその重い木製テーブルを動かすつもりです。
(動かすことができる前提)
未来形の〈try doing〉
試しに~をやってみる
★ やってみること(実験)の予定
10. I am going to try to move the heavy wood table.
私はその重い木製テーブルを動かしてみようかと思っています。
(動かせるかどうかは不明)
未来形の〈try to do〉
~しようと努力する(できるかどうかは文脈次第)
★ 行為に焦点(結果はわからない)
動名詞が続く場合と不定詞が続く場合の違いを理解し、使いこなしましょう。
こちら↓も参考にしてください。