今回は「話法」についてお伝えします。
「話法」
★ 「話法」とは誰かの発言や意見を伝える方法のことで、「直接話法」と「間接話法」があります。
★ 「話法」には伝達動詞が使われます。伝達動詞とは、「~が…と言った」ということを伝える動詞です。
「直接話法」
★ 「直接話法」は発言者の言葉をそのまま伝える方法で、一般的に発言内容を引用符( " " ) で囲みます。
★ このとき、引用符内の文は通常と同じように大文字で書き始め、文尾にはピリオド、感嘆符、疑問符などをつけます。
★ 引用符内の文が 2文以上のこともあります。
「間接話法」
★ 「間接話法」は発言者の言葉が引用符で囲まれることはなく、その部分が名詞節として述語動詞の目的語になります。
★ 発言者の言葉を話し手の視点から伝えます。
問題
「直接話法」を「間接話法」に転換しましょう。
1. He said to me, "I was late for school today. Why didn't you wake me up?"
2. He said, " I know her phone number, but I will not call her today."
3. Tom said to me, "Time is money."
4. Our teacher said to us, "Don't be afraid of failure."
5. He said to me, "Let's eat out tonight."
6. She said, "How beautiful the sunset from here is!"
7. He said, "If I were 30 years younger, I would study abroad."
8. I said to him, "Yes. Thank you."
9. She said, "Could you help me with my homework?"
10. Our teacher said, "Did the Civil War break out in 1861?"
解説
★ 文の種類によって使用する動詞や接続詞などが異なります。
★ 直接話法と間接話法の転換の際は、次の選択に注意が必要です。
1.伝達動詞
★ 多くの場合過去形ですが、習慣などを表す際は現在形が使われることもあります。
2.時制
★ 話している時点から考えた時制を使います。主節の動詞の時制に合わせて、発言内容の時制も変更します。これを「時制の一致」といいます
3.接続詞
★ 発言内容によって接続詞が異なります。
4.人称代名詞 (I、you、he、she、it など)
★ 固有名詞はそのままですが、人称代名詞は話し手の立場で使い分けます。
5.指示代名詞 (this、that、these、those )
★ 話し手の視点で、内容に合わせて転換します。
6.時や場所を表す副詞句 ( now、today、here など )
★ 話し手の視点で、内容に合わせて転換します。
(1) 発言内容が平叙文(肯定文と否定文) の場合
1.伝達動詞
直 said
間 said
直 said to 人
間 told 人
★ 最近は直接話法でも 〈say to 人〉より 〈tell 人〉の方がよく使われます。
2.時制
★ 主節の動詞が過去のときの発言内容の時制
直 現在
間 過去
直 助動詞 will
間 助動詞 would
直 現在進行 (am/are/is + ~ing)
間 過去進行 (was/were + ~ing)
直 現在完了 (have/has +過去分詞)
間 過去完了 (had +過去分詞)
直 過去
間 過去完了 (大過去: 過去よりさらに前) (had+過去分詞)
直 過去進行 (was/were + ~ing)
間 過去完了進行 (had been + ~ing)
直 過去完了 (had+過去分詞)
間 過去完了 (had+過去分詞)
★ 変化なし
ここ大事!
時制の一致の例外
次の場合時制の一致は行われず、間接話法でも直接話法と同じ時制が使われます。
1.一般的真理 (現在形) (3.)
2.現在の習慣・事実 (現在形)
3.歴史上の事実 (過去形)(10.)
4.仮定法 (7.)
3.接続詞 (that)
★ 直接話法の発言内容を間接話法では that 節で導きます。
ここ大事!
★ 2. のように直接話法の発言内容に and / but などの接続詞が使われている場合、間接話法でも同じ等位接続詞を使います。
この場合、接続詞の後も発言内容が続くことを明確にするため、接続詞の that は省略できません。
4.人称代名詞 (I、you、he、she、it など)
★ 話し手から見た人称に変えます。
5.指示代名詞 (this、that、these、those )
★ 話し手の視点で変えます。
直 this
間 that
直 these
間 those
6.時や場所を表す副詞句 ( now、today、here など )
★ 話し手の視点で変えます。
直 now
間 then
直 today
間 that day
直 tonight
間 that night
直 yesterday
間 the day before [the previous day]
直 last night
間 the night before [the previous night]
直 ~ ago (今から~前に)
間 ~ before (過去のある時点から~前に)
直 tomorrow
間 (the) next day [the following day]
直 next week
間 the next week [the following week]
直 here
間 there
(2) 発言内容が疑問文 の場合
★ このように、間接話法の中で、疑問文を文の一部として組み込んだものを間接疑問と呼びます。
1.伝達動詞
直 said (to 人)
間 asked (人)
★ 直接話法は発言内容から「尋ねている」ということがわかりますが、発言内容が疑問文でも間接話法では肯定文と同じ語順になるため、「尋ねている」ということがわかるように ask という動詞を使います。
★ 1. のように直接話法の発言内容に2種類以上の文が含まれる場合は、間接話法ではそれぞれ適切な伝達動詞を使い、文を分けたり、and / but などの等位接続詞を使って1文で表します。
2.接続詞
① 1. の2文目のように直接話法の発言内容が疑問詞を使った疑問文のとき、間接話法では、疑問詞を接続詞の代わりに用い次のように平叙文の語順で発言内容を表します。
〈S + ask (+ 人) + 疑問詞 + S' + V' ~ 〉
② 10. のように直接話法の発言内容がYes/No 疑問文のとき、間接話法では、接続詞に if [whether] を用い次のように肯定文の語順で発言内容を表します。
〈S + ask (+ 人) + if [whether] + S' + V' ~ 〉
時制、人称代名詞、指示代名詞、時や場所を表す副詞句
★ 平叙文と同じルールです。
(3) 発言内容が命令文 の場合
1.伝達動詞
直 said (to 人)
間 told / asked / advised / ordered +人 + (not ) to do
★ 直接話法は発言内容から命令文であることがわかりますが、間接話法では内容によって上記のような伝達動詞を使い分け、目的語の後に to 不定詞を続けます。
〈S + tell / ask / advise / order + 人 + (not) to do ~ 〉
★ 4. のように発言内容が否定の命令文の場合は、to 不定詞の直前に not を置きます。
★ 9. のように発言内容が依頼を表す疑問文の場合も、命令文と同じように考えます。
★ to 不定詞の時制は主節の時制と同じです。節(SVを含む2語以上のまとまり) ではないので、時制の一致のルールを考える必要はありません。
こちら↓も参考にしてください。
★ 5. のように発言内容が Let's ~. などで提案を表す場合、間接話法では suggest [propose] という動詞を使い、次のように使います。
〈S + suggest[propose] ( to 人) that S' + (should) V' ~ 〉
注)suggest [propose] を使う文では、提案内容を表す that 節内の述語動詞が アメリカ英語では動詞の原形、イギリス英語では〈should +動詞の原形〉になることに注意しましょう。
こちら↓も参考にしてください。
人称代名詞、指示代名詞、時や場所を表す副詞句
★ 平叙文と同じルールです。
(4) 発言内容が感嘆文 の場合
1.伝達動詞
直 said
間 said / remarked / cried / shouted / exclaimed
★ 直接話法は発言内容から感嘆文であることがわかりますが、間接話法では内容によって上記のような伝達動詞を使い分けます。
2.接続詞
① 6. のように直接話法の発言内容が感嘆文のとき、間接話法では伝達動詞の後に感嘆文を続けます。
〈S + said / remarked / cried / shouted / exclaimed + 感嘆文 〉
② very を使って that 節で表すこともできます。
〈S + said / remarked / cried / shouted / exclaimed + that + S' + V' + very 形容詞〔副詞〕~ 〉
時制、人称代名詞、指示代名詞、時や場所を表す副詞句
★ 平叙文と同じルールです。
(5) 発言内容が不完全な文の場合
1.伝達動詞
★ 8. のように、不完全な文の場合は、発言内容によって適切な伝達動詞で表します。
解答例
1. He said to me, "I was late for school today. Why didn't you wake me up?"
→
He told me (that) he had been late for school that day. He asked me why I had not woke him up.
He told me (that) he had been late for school that day and (he) asked me why I had not woke him up.
★ 彼が言った翌日以降の発言なら that day に変えますが、同じ日の発言なら today のままです。
2. He said, " I know her phone number, but I will not call her today."
→
He said (that) he knew her phone number but that he would not call her that day.
said の後の that は省略可
but の後の that は省略不可
3. Tom said to me, "Time is money."
→
Tom told me (that) time is money.
★ 一般的真理は時制の一致の例外なので、過去形ではなく現在形のままです。
4. Our teacher said to us, "Don't be afraid of failure."
→
Our teacher told us not to be afraid of failure.
5. He said to me, "Let's eat out tonight."
→
He suggested [proposed] to me (that) we (should) eat out that night.
6. She said, "How beautiful the sunset from here is!"
→
She exclaimed how beautiful the sunset from there was.
She exclaimed that the sunset from there was very beautiful.
7. He said, "If I were 30 years younger, I would study abroad."
→
He said (that) if he were 30 years younger, he would study abroad.
★ 仮定法は時制の一致の例外なので、過去完了形ではなく過去形のままです。
8. I said to him, "Yes. Thank you."
→
I agreed (with him) and thanked him.
9. She said, "Could you help me with my homework?"
→
She asked me to help her with her homework.
★ 通常の Yes/No 疑問文ではなく依頼文なので、命令文と考えることができます。
10. Our teacher said, "Did the Civil War break out in 1861?"
→
Our teacher asked if [whether] the Civil War broke out in 1861.
★ 歴史上の事実は時制の一致の例外なので、過去完了形ではなく過去形のままです。
こちら↓も参考にしてください。