今回は時制の 8 つのパターンと,それぞれの時制の「動作動詞と状態動詞」の使い方の違いについてお伝えします。
時制を考える際に大切なのは「時」の情報だけではありません。
その動詞が動作動詞か状態動詞かを意識することも大切です。
問題
直前の記事で挙げた時制の 8 つのパターンが,それぞれがどういう意味や状況を表すかを,動作動詞と状態動詞に分けて説明しましょう。
8つのパターン:
1.現在単純形(現在形)
2.過去単純形(過去形)
3.現在進行形
4.過去進行形
5.現在完了形
6.過去完了形
7.現在完了進行形
8.過去完了進行形
直前の記事はこちら↓
解説と解答
時制と,その動詞が「動作動詞か状態動詞か」を同時に考えることで,文の意味を理解しやすくなり,間違いを防ぎやすくなります。
それぞれの時制を「動作動詞 / 状態動詞」に注目して確認しましょう。
まずは動作動詞と状態動詞について確認しましょう。
動作動詞
★動作を表す動詞で、原則的に始めと終わりが明確です。
★多くの動詞は動作動詞です。
★次のような動詞が動作動詞です。
play,walk,watch,eat,study,read,talk,cook,smile など
状態動詞
★一度きりの動作ではなく、ある状態が続いていることを表す動詞です。
★次のような動詞が状態動詞です。
be 動詞,like,resemble,belong,know,live,depend,remember など
補足
両方で使われる動詞もあります。
例)
I have breakfast at 7:00 every morning.
(~を食べる:動詞動詞)
I have two brothers.
(~を持っている:状態動詞)
動作動詞と状態動詞の詳細はこちら↓を参考にしてください。
それぞれのパターンを動作動詞と状態動詞に分けて確認しましょう。
1.現在単純形(現在形)
動作動詞:
★(過去や未来も含む)現在を中心にした習慣や反復的動作を表します。
★頻度を表す副詞(句)を伴うことが多いです。
1. I usually go to bed before 11:00 p.m.
私はたいてい午後11時より前に寝ます。
状態動詞:
★(過去や未来も含む)現在を中心にした持続的な状態や性質を表します。
2. I do not like coffee much.
私はコーヒーがあまり好きではありません。
補足
動作動詞,状態動詞,共に「変わることのない真理やことわざ」などを表します。
3. The sun rises *in the east.
太陽は東から昇ります。
4. Two plus two are[is] four.
2 足す2 は 4 です。
*前置詞については,こちら↓を参考にしてください。
現在形の詳細はこちら↓を参考にしてください。
2.過去単純形(過去形)
動作動詞:
★過去に「~した」という一度だけの動作や出来事(5.),及び過去の習慣や反復的動作(6.)を表します。
★頻度を表す副詞(句)や過去を表す語句を伴うことが多いです。
ここ大事!
現在形で「現在行っている一度だけの動作や出来事」は表せません。
5. They played soccer yesterday.
彼らは昨日サッカーをしました。
6. They sometimes played soccer after school when they were high school students.
彼らは高校生のとき時々放課後にサッカーをしました。
状態動詞:
★過去のある一定期間の状態や性質を表します。
★過去を表す語句を伴うことが多いです。
7. I lived in Tokyo when I was a university student.
私は大学生の頃東京に住んでいました。
過去形の詳細はこちら↓を参考にしてください。
3.現在進行形〈is / am / are + 現在分詞〉
4.過去進行形〈was / were + 現在分詞〉
★進行形にすることで、写真ではなく、動画を見ているようなイメージです。
★進行形になるのは原則として動作動詞です。
★主に現在進行形では例外的に「一時的な状態」を表す場合に状態動詞を進行形にすることがあります。
動作動詞:
★現在進行形は現時点において今まさに行われている動作(8.)を,過去進行形は過去のある時に行われていた動作(9.)を表します。
★現在進行形は副詞の nowを,過去進行形は過去を表す語句を伴うことが多いです。
8. She is watching TV now.
彼女は今テレビを見ています。
9. I was watching TV when he called me.
彼が電話してきたとき,私はテレビを見ていました。
状態動詞:
★「一時的な状態」を表す場合、主に現在進行形で状態動詞を進行形にすることがあります。
10. He is living in New York for work.
彼は今(一時的に)仕事でニューヨークに住んでいます。
*状態動詞の live は通例現在形で表しますが,進行形にすることで「すぐに引っ越すことが決まっており,一時的に住んでいる」ということを暗示します。
11. You are being quiet.
(いつもは違うが)あなたは(今だけは)静かですね。
*状態動詞の be 動詞 は通例現在形で表しますが,進行形にすることで「いつもは違うのに今だけは」ということを暗示します。
進行形の詳細はこちら↓を参考にしてください。
5.現在完了形〈have / has + 過去分詞〉
★過去の出来事や事柄などが現在に何らかの影響を与えている動作や状態を表します。
6.過去完了形〈had + 過去分詞〉
★過去のある時点とさらに前の時点を結び付けている動作や状態を表します。
★過去完了形は現在完了形の「現在」と「過去」の関係を,「過去」と「さらに過去」へスライドさせています。
次の3つの用法に分けられます。
(1) 継続 「今まで[過去のある時点まで]ずっと~だ」
★原則として状態動詞を使います。
状態動詞:
12. I have lived in Tokyo for three years.
私は3年東京に住んでいます。
13. I had lived in Tokyo when I first met him.
私は彼に初めて会った時,3年東京に住んでいました。
動作動詞:
★動作動詞の現在完了形は「継続」ではなく「完了」を表す事が多く、「継続」 を表す際には、多くの場合現在完了進行形を使います。
★ただし、動作動詞の中でも wait / study / learn / stay / rain のような、一定時間の動作の継続を表す動詞は、状態動詞と同じように現在完了形で「継続」を表すこともあります。
★その場合、(「完了」ではなく)「継続」を表していることを明確にするために、通常「for+期間」や「since +起点」のような期間を表す語句を伴います。
14. She has waited for him for three hours.
彼女は3時間彼を待っています。
15. She had waited for him for three hours when he called her.
彼が彼女に電話したとき,彼女は3時間彼を待っていました。
こちら↓も参考にしてください。
2.経験 「今までに~したことがある」
★原則として動作動詞を使いますが,一部の状態動詞も使います。
★回数や頻度を表す語句を伴うことが多いです。
動作動詞:
16. I have seen him before.
私は以前彼に会ったことがあります。
17. I had never seen a foreigner until I visited USA.
私はアメリカを訪れるまで外国人に会ったことがありませんでした。
状態動詞:
18. I have never been abroad.
私は一度も海外へ行ったことがありません。
19. I had never been abroad until then.
私はその時まで一度も海外へ行ったことがありませんでした。
こちら↓も参考にしてください。
3.完了・結果「今~したところだ」
★原則として動作動詞を使います。
★just,already,yet などの語句を伴うことが多いです。
動作動詞:
20. I have just read this book.
私はこの本をちょうど読んだところです。
21. The meeting had alreday started when he came.
彼が来た時,会議はすでに始まっていました。
こちら↓も参考にしてください。
7.現在完了進行形〈have / has + been + 現在分詞〉
8.過去完了進行形〈had + been + 現在分詞〉
★原則として動作動詞を使い,現在完了進行形は過去に始めた動作の現在までの継続を,過去完了進行形は過去のあるときまでの継続を表します。今後もその動作が続くことを暗示することもあります。
★過去完了進行形は現在完了進行形の「現在」と「過去」の関係を,「過去」と「さらに過去」へスライドさせています。
★期間を表す語がなくても継続の意味を示すことができます。
★前述のように一定時間の動作の継続を表す動作動詞も,状態動詞と同じように現在[過去]完了形で「継続」を表すこともありますが,このような動詞を現在完了進行形で表すと、「継続」をより強調します。(比較:14. と 23.)
★進行形が「未来」へ続くイメージをもつため、現在完了進行形も「未来」も続くことを暗示する場合もあります。
動作動詞:
22. I have been reading this book.
私はずっとこの本を読んでいます。
23. She has been waiting for him for three hours.
彼女はもう3時間も彼を待ち続けています。(まだ待つようです)。
24. They had been playing baseball for two hours when it started to rain.
雨が降り出したときには,彼らは2時間ずっと野球をしていました。
こちら↓も参考にしてください。
まとめ
1.現在単純形(現在形)
動作動詞:
★(過去や未来も含む)現在を中心にした習慣や反復的動作を表します。
状態動詞:
★(過去や未来も含む)現在を中心にした持続的な状態や性質を表します。
2.過去単純形(過去形)
動作動詞:
★過去に「~した」という一度だけの動作や出来事,及び過去の習慣や反復的動作を表します。
状態動詞:
★過去のある一定期間の状態や性質を表します。
3.現在進行形〈is / am / are + 現在分詞〉
4.過去進行形〈was / were + 現在分詞〉
★進行形にすることで、写真ではなく、動画を見ているようなイメージです。
★進行形になるのは原則として動作動詞です。
動作動詞:
★現在進行形は現時点において今まさに行われている動作を,過去進行形は過去のある時に行われていた動作を表します。
状態動詞:
★「一時的な状態」を表す場合、主に現在進行形で状態動詞を進行形にすることがあります。
5.現在完了形〈have / has + 過去分詞〉
★過去の出来事や事柄などが現在に何らかの影響を与えている動作や状態を表します。
6.過去完了形〈had + 過去分詞〉
★過去のある時点とさらに前の時点を結び付けている動作や状態を表します。
★過去完了形は現在完了形の「現在」と「過去」の関係を,「過去」と「さらに過去」へスライドさせています。
動作動詞を使う用法:
1.継続(一部の動作動詞のみ)
2.経験
3.完了・結果
状態動詞を使う用法:
1.継続
2.経験(一部の状態動詞のみ)
補足
未来形〈will[be going to] + 動詞の原形〉など
★予測や意思を伝えます。
未来進行形〈will be + 現在分詞〉
★未来のある時点において行われているであろう動作を表します。
★確定している未来の予定を表すこともあります。
★丁寧な表現として使われることもあります。
未来完了形〈will have + 過去分詞〉
★「現在完了形」の「現在」と「過去」の関係をスライドさせて、「未来」と「それ以前」の関係を表しています。
★その動作などがその後の動作などに繋がるニュアンスもあります。
未来完了進行形〈will have been + 現在分詞〉
★実際にはこの形が使われることは少なく,未来完了形で表すことが多いです。
未来形についてはこちら↓を参考にしてください。
こちら↓も参考にしてください。