外国人観光客が多いためか、ホテルや駅などでは日本語だけでなく英文でも注意事項が書かれていることが多いですよね。
今回は、ショッピングセンターのトイレの壁に貼られていた注意事項についてお伝えします。
問題
英訳しましょう。
「忘れ物はございませんか?」
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問題2
日本語に併記してあった英文は次の通りです。
どう思われますか?
Is there a thing left behind?
考察と英訳例
あらかじめお伝えしますが、この英文を書かれた方を侮辱したり責めたりするつもりはありません。
日本語の単語をそのまま英語に置き換えただけ、つまり直訳では伝わりにくいことを考察してみたいと思い、取り上げさせていただきます。
「忘れ物」を和英辞典で調べると a thing[things] left behind と出てくるので、そのまま使ったのかもしれません。
a thing は「ひとつのもの」なので、ひとつあるかどうかを尋ねていることになります。
ここで聞きたいのは単数か複数かにかかわらず、「あるかどうか」のはずです。
その場合は、anything を使うことができます。
Is there anything …? なら「…がありますか」と尋ねていることになります。
any に関しては、こちら↓も参考にしてください。
ただし、通例 Is there …?と聞かれて、自分に忘れ物がないかを確認するように促されているとは思わないはずです。
〈there is〔are〕+主語 …〉は主語があるかどうかを伝える構文です。
この文は「(誰かが)忘れているものはありますか」と尋ねていることになり、誰が忘れたかには触れていません。
客ではなく掃除担当の方などに向けた確認文なら〈there is〔are〕…〉構文で問題ないでしょう。
今回の英訳のポイント
直訳では正しく伝わらないことが多いので、状況に合う英文を考えましょう。
1.「忘れ物はございませんか?」の主語である「あなたは」は省略されています。英語では主語を明確にしましょう。
2.何を伝えたいのかを考えましょう。今回は「(忘れ物が)あるかないか」が知りたいのではなく、「確認しましょう」ということが伝えたいはずです。
トイレを出る前に忘れ物がないかを確認して欲しい場合は、例えば次のように聞くことができます。
Do you have everything (with you)?
Please make sure not to forget anything.
Please do not forget your belongings (with you) when you leave here.
ただし、おそらく英語圏ではこのような注意書きをトイレのドアに貼ることはないと思います。
日本ってとても親切ですよね。
余談ですが、トイレの注意事項といえば、よく見かけるのが「トイレットペーパーも流しましょう」です。
詰まるのを防ぐため、トイレットペーパーは流さずに、ゴミ箱に捨てる国もあるとか…
多くの外国人観光客は、日本のトイレが無料で清潔なことに驚かれるそうですよ。
英語の間違いについては、こちら↓にも書いています。
よろしければご覧ください。
お勧め書籍↓
こちら↓も参考にしてください。