今回は品詞についてお伝えします。
単語の意味や文中での役割などによって分類したのが品詞で、名詞、動詞、形容詞、副詞、代名詞、前置詞、接続詞、間投詞、の8種類あります。
それに冠詞と助動詞を加えて10種類と考えることもあります。
役割によって8つまたは10のグループに分かれていると考えると、分かりやすいかもしれません。
なお、一つの単語が一つの品詞とは限りません。
また、一つの単語だけではなく、句(SVを含まない2語以上のまとまり) や節(SVを含む2語以上のまとまり) にも品詞があります。
語・句・節については、こちら↓を参考にしてください。
なぜ品詞の理解が大切か
母語である日本語は、品詞を意識することは少ないかもしれません。
例えば、次の文は表現方法が違いますが、ほぼ同じ意味を表しています。
1. あの女性は歌うのが上手です。
2.あの女性は上手に歌います。
1. と 2. を比較すると、次のように表現方法が違います。
1. 歌う ⇔ 2. 歌い
1. 上手です ⇔ 2. 上手に
日本人なら意識しなくても自然に適切な表現を選択することができると思いますが、英語の場合は日本語と同じくらい「自然に」できないこともあると思います。
また、発信した英語が正しいかどうか自信がない場合もあるかもしれません。
そのようなときに役立つのが「品詞の理解」です。
「品詞を意識したことがなかった」という人が多いのですが、それぞれの品詞の使い方を知っておくことで、正しく発信できるようになるので、是非マスターしましょう。
それぞれの品詞についての詳細は、こちら↓を参考にしてください。
問題
( ) の中から適切な語句を選びましょう。
また、(勘ではなく)その理由も考えましょう。
1. I do not know if my sister ( ①comes ②will come ③coming ) tomorrow.
2. ( ①Writing ②Written ③It is written ) in easy English, this article is easy to read.
3. He showed me a ( ①new ②newly ) wooden table.
4. ( ① Can ②Is ③Has ) the rumor be true?
5. We will stay home if it ( ①rains ②will rain ③rained ).
6. Don't get close to the ( ①new ②newly ) painted wall.
7. As soon as Tom received the ( ①accept ②acceptance ③acceptable ) letter, he called his mother to tell the good news.
8. The cost of distribution has increased by ( ① approximation ② approximate ③ approximately ) 10%.
9. We have to continue ( ① evaluation ② evaluate ③ evaluating ) their job performances.
10. This stew tastes ( ① salt ② salty ③ salted ).
解答と解説
1. I do not know if my sister ( ②will come ) tomorrow.
私は妹が明日来るかどうか知りません。
接続詞 if には主に名詞節を導き「…かどうか」という意味を表す場合と、副詞節を導き「もし…なら」という条件を表す場合(5.)があります。
ここでは、if が導く節が動詞 know の目的語になっているので、名詞節が続くことがわかります。(目的語になるのは名詞だけです)
文法上「when や if に導かれた時や条件を表す副詞節の中では、未来のことも現在形(現在完了形も可) で表す」というルールがありますが、ここでは名詞節のためそのルールは該当せず、未来のことは未来形で表します。
従って①は不正解です。
また、③ の coming では if 節内の述語動詞として不適切なので不正解です。
こちら↓も参考にしてください。
2. ( ②Written ) in easy English, this article is easy to read.
= Because it is written in easy English, this article is easy to read.
易しい英語で書かれているので、この記事は読みやすいです。
節(SVを含む2語以上のまとまり) が2つあるときは接続詞が必要です。
また、1つの節と副詞句を一緒に使う場合もあります。
ここでは、接続詞と動詞の役割を兼ねた副詞句の分詞構文が使われていると考えると、文法上正しい文になります。
分詞構文について
★分詞構文は通例~ingで始まります。
★受動態の分詞構文は〈being+過去分詞〉ですが、通例 being が省略されます。
(過去分詞から始まります。)
★分詞構文の意味上の主語が主節の主語と一致する場合、分詞構文の意味上の主語は省略します。
ここでも省略されているため、分詞構文の意味上の主語は主節と同じ this article です。
記事は「読む」のではなく「読まれる」ので① Writing は不正解です。
(✖ Because it writes in easy English, ….)
★③It is written は文としては完全ですが、主文の this article is easy to read とを繋ぐ役割の接続詞が必要なので、これだけでは不正解です。
分詞構文については、こちら↓も参考にしてください。
3. He showed me a ( ①new ) wooden table.
彼は私に新しい木製のテーブルを見せてくれました。
〈冠詞+ ( ) + 形容詞 + 名詞〉の空欄に入るのは、形容詞か副詞です。
複数の形容詞が名詞を修飾することがあります。
また、副詞が直後の形容詞を修飾することがあります(6.)。
ここでは、副詞が形容詞を修飾し「最近wooden(木製の) という状態になった」と考えるのは不自然なので、形容詞の new が直後の形容詞 wooden と共に名詞の table を修飾していると考えるのが適切です。
4. ( ① Can ) the rumor be true?
その噂は本当でしょうか。
空欄の後に主語と動詞の原形が続く第2文型(SVC) と考えることができます。
be 動詞の疑問文は〈Be動詞 + 主語 …?〉の語順ですが、助動詞を使う場合は〈助動詞 + 主語 + 動詞の原形…?〉の語順です。
be 動詞の原形の be が使われていることと語順から判断し、文頭に来るのは助動詞の ① Canと考えることができます。
can の意味
なお、この can は能力を表す「~できる」という意味ではなく、「~であり得るだろうか」という強い疑問の気持ちを表します。
助動詞には色々な意味があるので、注意が必要です。
こちら↓も参考にしてください。
5. We will stay home if it ( ①rains ).
もし明日雨が降ったら、私達は家にいます。
接続詞 if には主に名詞節を導き「…かどうか」という意味を表す場合(1.)と、副詞節を導き「もし…なら」という条件を表す場合があります。
ここでは、We will stay home (主語+自動詞+副詞) という文が、どの要素も欠けていない完全な文であることから、 if が導く節が副詞節であることがわかります。(副詞は文の要素になりません)
文法上「when や if に導かれた時や条件を表す副詞節の中では、未来のことも現在形(現在完了形も可) で表す」というルールがあるため、未来のことでも現在形で表します。
従って②は不正解です。
こちら↓も参考にしてください。
また、仮定法では③ rained のように、現在のことでも if で導かれる節を過去形で表しますが、その場合は主節に助動詞の過去形を使うため、この文は仮定法ではないことが分かります。従って③も不正解です。
こちら↓も参考にしてください。
6. Don't get close to the ( ②newly ) painted wall.
ペンキを塗ったばかりの塀に近づかないで。
〈冠詞+ ( ) + 形容詞 + 名詞〉の空欄に入るのは、形容詞か副詞です。
複数の形容詞が一つの名詞を修飾することがあります(3.)。
また、副詞が直後の形容詞を修飾することがあります。
形容詞の ① new を選択して「新しい、塗られた壁」でも必ずしも間違いではありませんが、副詞の newly が直後の形容詞 painted を修飾し「新しく塗られた」と考えるのが自然です。
なお、painted は形容詞の働きをする分詞です。
分詞については、こちら↓を参考にしてください。
7. As soon as Tom received the ( ②acceptance ) letter, he called his mother to tell the good news.
トムは合格通知を受け取るとすぐに、その良いニュースを知らせようと母親に電話しました。
多くの場合〈冠詞 + ( ) + 名詞〉の形の ( ) には名詞を修飾する形容詞が入ります。
★形容詞は修飾する名詞の『特徴や性質・性格』などを表します。
③の形容詞 acceptable は letter の特徴として「受理できる」ことを表すため、「受け取ることができる手紙」という意味になり文意が通らないため③ acceptable は不正解です。
名詞の形容詞的用法
数は限られていますが、名詞にも名詞を修飾する用法があります。
★名詞は修飾する名詞の『目的や内容』を表します。
ここでは letter の内容が acceptance (受け入れ、合格、採用) なので、名詞が名詞を修飾している ② acceptance が正解です。
① accept は動詞なので、この位置に入る事はありません。
名詞が名詞を修飾する場合については、こちら↓を参考にしてください。
8. The cost of distribution has increased by ( ③ approximately ) 10%.
流通費がおよそ10%増加しました。
数詞は名詞の用法と形容詞の用法があります。
ここ大事!
ここでも前置詞 by の後に続いているので10% は名詞と考えることができますが、数詞を修飾するのは形容詞ではなく副詞です。
★ただし、final と last は形容詞ですが、数詞を修飾します。
従って、名詞の ① approximation も、形容詞の ② approximate も不正解です。
9. We have to continue ( ③ evaluating ) their job performances.
私達は彼らの業務評価を続けなければいけません。
動詞の continue には自動詞と他動詞の用法があります。
ここでは後ろに目的語を伴う他動詞と考えるのが自然です。
目的語になるのは名詞ですが、① evaluation はその後ろの their job performances とうまく繋がりません。
この場合は evaluation of their job performances のように「~の」という意味の前置詞 of が必要です。
③ evaluating のような動詞の -ing 形には現在分詞と動名詞があります。
③ evaluating を動名詞だと考えれば、直後に目的語を続けることが可能なので、③ evaluating が正解です。
動詞の ② evaluate を動詞 continue の直後に続けることはできないので不正解です。
動名詞については、こちら↓を参考にしてください。
10. This stew tastes ( ② salty ).
taste には名詞と動詞があります。ここでは動詞の用法で使われています。
動詞の taste は自動詞と他動詞の用法があります。
1.自動詞として第2文型(SVC)で形容詞を伴って使われ「主語が~の味・風味がする」という意味
2.他動詞として第3文型(SVO)で目的語(名詞)を伴って「主語が~の味をみる」という意味
ここでは人ではなく stew が主語なので、第2文型だと分かります。
従って形容詞の② salty が正解です。
③ salted も形容詞ですが、味を表しているのではなく「塩漬けにした」という意味なので、不正解です。
品詞の役割を理解し、勘ではなく理由も考えるようにしましょう。
慣れてくると、意識しなくても素早く正しい品詞を選択できるようになります。
こちら↓も参考にしてください。