関係代名詞や関係副詞には、コンマを用いない限定用法とコンマを用いる非限定用法があります。今回は二つの違いについてお伝えします。
関係詞(関係代名詞と関係副詞の総称) を使って名詞を修飾する際、どの関係詞を使うかということだけでなく、限定用法か非限定用法かについても考える必要があります。
あまり意識せずに使っている人が多いので、確認しておきましょう。
問題
次の文が正しいか誤っているか、考えましょう。
1. I wento to France which is my favorite country.
2. I went to a restaurant which had a nice atmosphere.
3. I bought this book which is written in French.
4. I met her son who is an artist.
5. Do you know Tom Brown who is our English teacher?
6. She married a writer which I did not know.
7. This is the book that he gave me.
解答と解説
1. ✖ I wento to France which is my favorite country.
2. 〇 I went to a restaurant which had a nice atmosphere.
3. ✖ I bought this book which is written in French.
4. 〇 I met her son who is an artist.
5. ✖ Do you know Tom Brown who is our English teacher?
6. ✖ She married a writer which I did not know.
7. 〇 This is the book that he gave me.
それぞれの文を、限定用法と非限定用法の違いに注意して考えてみましょう。
まずは限定用法と非限定用法の違いを確認しておきましょう。
(1) 限定用法(または制限用法)とは
先行詞の範囲を限定または制限する
例)
たくさんあるレストランのうち「昨日行ったレストラン」
たくさんある映画のうち「先週観た映画」
たくさんいる女性のうち「白いワンピースを着た女性」
(2) 非限定用法(または非制限用法 / 継続用法)とは
先行詞を限定または制限するのではなく、先行詞について補足的に説明を加えます。
先行詞が名詞のこともありますし、文のこともあります。
先行詞が、固有名詞のように、もともと一人しかいない人や物や場所などの特定の人、場所、時の場合は、この用法を用います。
関係詞節が先行詞を説明しているのではなく、関係詞の前にあるコンマによって文が分かれていると考えましょう。
2つの違い:
★つまり、限定用法と非限定用法は、他にもいる[ある]のか、その人[それ]しか(い)ないのかが違います。
★他にもいる[ある]中で、「関係詞節で説明されている特徴を持つ~」と限定するのなら限定用法(コンマなし)、一人[ひとる]しか(い)ない人や事柄を補足的に説明するのなら非限定用法(コンマあり)です。
1.
限定用法
✖ I wento to France which is my favorite country.
非限定用法
→〇I went to France, which is my favorite country.
私はフランスへ行きました。それは私が一番好きな国です。
I went to France. で文は完結し、which以下は France について補足的に説明しています。
コンマがなければ、いくつかフランスがあり、そのうち自分が一番好きな国であるフランスという意味になってしまいます。
2.
限定用法
〇 I went to a restaurant which had a nice atmosphere.
私は(いくつかあるレストランのうち)素敵な雰囲気のレストランへ行きました。
いくつかあるレストランのうち、which以下のような a restaurant だと限定しています。
非限定用法
〇 I went to a restaurant, which had a nice atmosphere.
私はあるレストランへ行きました。そこは雰囲気が素敵でした。
I went to a restaurant. で文は完結し、which以下は a restaurant について補足的に説明しています。
3.
限定用法
✖ I bought this book which is written in French.
this book(この本)はそれ一冊しかないので、「たくさんある本のうち…の本」のように限定することができません。
非限定用法
〇 I bought this book, which is written in French.
私はこの本を買いました。それはフランス語で書かれています。
I bought this book. で文は完結し、which以下は this book について補足的に説明しています。
4.
限定用法
〇 I met her son who is an artist.
私は、彼女の(複数の息子のうち)芸術家の息子に会いました。
何人かいる彼女の息子のうち、who以下のような her son だと限定しています。
非限定用法
〇 I met her son, who is an artist.
私は彼女の息子に会いました。彼は芸術家です。
I met her son. で文は完結し、who以下は her sonについて補足的に説明しています。
her son と単数形なので、彼女には息子が一人しかいないことが分かります。
5.
限定用法
✖ Do you know Tom Brown who is our English teacher?
非限定用法
〇 Do you now Tom Brown, who is our English teacher?
あなたはトム・ブラウンを知っていますか?彼は私たちの英語の先生です。
コンマがなければ、トム・ブラウンさんが何人かいて、そのうち自分たちの英語の先生であるトム・ブラウンさんという意味になってしまいます。
Do you know Tom Brown? で文は完結し、who以下はTom Brownについて補足的に説明しています。
6.
限定用法
✖ She married a writer which I did not know.
〇 She married a writer who(m) I did not know.
彼女は(何人かいる作家のうち)私が知らない作家と結婚しました。
何人かいる作家のうち、who以下のような a writer だと限定しています。
a writer が先行詞なら関係代名詞は which ではなく who(m)です。
なお、目的格には whom を使いますが口語では whoで代用されることが多いです。
非限定用法
✖ She married a writer which I did not know.
〇 She married a writer, which I did not know.
彼女は作家と結婚しました。私はそのことを知りませんでした。
She married a writer. で文が完結し、その文全体が先行詞となり、which以下が それについて補足的に説明しています。
〇 She married a writer, who(m) I did not know.
彼女は作家と結婚しました。私はその人のことを知りませんでした。
She married a writer. で文が完結し、who(m)以下が a writer について補足的に説明しています。
7.
限定用法
〇 This is the book that he gave me.
これは彼が私にくれた(まさにその)本です。
何冊かある本のうち、that以下のような book だと限定しています。
比較(冠詞について)
先行詞に定冠詞がつくかつかないかは、相手がそれ〔その人〕について既に知っているかどうかによって異なります。
例えば 6. は a writer のように「不定冠詞 a 」が使われているので、相手がその男性のことを知らないことがわかります。
7. は the bookのように「定冠詞 the」が使われているので、相手もその本について何らかの情報を持っていることがわかります。
冠詞についてはこちら↓も参考にしてください。
非限定用法
✖ This is the book, that he gave me.
〇 This is the book, which he gave me.
これは(まさに)その本です。彼が私にその本をくれました。
This is the book. で文が完結し、which以下が the book について補足的に説明しています。
ここ大事!
関係代名詞の that は色々なケースに使えますが、非限定用法には使えません。
関係詞を使うときは、限定用法か非限定用法かにも注意しましょう。
お読みいただきありがとうございました。
よろしければ、こちら↓も参考にしてください。