今回は関係詞の限定用法(制限用法)と非限定用法(非制限用法 / 継続用法) の違いについてお伝えします。
問題
次の2つの文の違いを考えましょう。
1. She has two sons who live in New York.
1'. She has two sons, who live in New York.
2. He likes this actor, which I did not know.
2'. He likes this actor, who(m) I did not know.
3. Tom said nothing which made her angry.
3'. Tom said nothing, which made her angry.
次の文は正しいでしょうか、それとも間違っているでしょうか。
4. I went to Paris where my sister lives.
5. I met his mother who is a writer.
6. She met Tom whose father is an actor.
7. Let's meet on Monday when I can take you there.
8. She said she was a lawyer which was true.
解答と解説
限定用法(制限用法)とは
先行詞を限定または制限する
例)
たくさんあるレストランのうち「昨日行ったレストラン」
たくさんある映画のうち「先週観た映画」
たくさんいる女性のうち「白いワンピースを着た女性」
非限定用法(非制限用法 / 継続用法)とは
先行詞を限定または制限するのではなく、先行詞について補足的に説明する
先行詞が固有名詞のように、もともと一人しかいない人や物や場所などの特定の人、場所、時の場合は、この用法を用います。
関係詞節が後ろから先行詞を説明しているのではなく、関係詞の前にあるコンマによって文が切れていると考えましょう。
1. She has two sons who live in New York.
彼女にはニューヨークに住んでいる息子が2人います。
(他にも別の場所に住んでいる息子がいる可能性あり)
1'. She has two sons, / who live in New York.
彼女は息子が2人いて、(2人とも)ニューヨークに住んでいます。
コンマで文が切れます。
コンマ以降の関係詞節は 先行詞 two sons の補足説明です。
この文は She has two sons and they live in New York. と同じです。
2. He likes this actor, / which I did not know.
彼はこの俳優が好きです。そのことを私は知りませんでした。
コンマで文が切れます。
which の先行詞は he likes this actorという前の文全体です。
この文は He likes this actor and I did not know that. と同じです。
2'. He likes this actor, / who(m) I did not know.
彼はこの俳優が好きです。私はその人を知りませんでした。
関係代名詞の目的格 whom は特に口語では who で代用されることが多いようです。また、目的格は省略可能です。
(whichはありますが) who は前の文全体が先行詞になることはありません。
この文は He likes this actor and I did not know him. と同じです。
3. Tom said nothing which made her angry.
トムは彼女を怒らせるようなことは何も言いませんでした。
他のことは言ったかもしれませんが、which made her angry のようなことは言わなかったと限定しています。
3'. Tom said nothing, / which made her angry.
トムは何も言いませんでした。そのことが彼女を怒らせました。
コンマで文が切れます。
which の先行詞は Tom said nothingという前の文全体です。
この文は Tom said nothing and that made her angry. と同じです。
4~8は全て間違っています。
もともと一人しかいない人、物、場所などは、非限定用法を用います。
前の文全体(句、節) が先行詞のときも非限定用法を用います。
正しくは以下の通りです。
4. I went to Paris, where my sister lives.
コンマがなければ、いくつかパリがあり、そのうち姉が住んでいるパリという意味になってしまいます。
5. I met his mother, who is a writer.
通常母親は一人だけです。
6. She met Tom, whose father is an actor.
固有名詞はそもそも一人なので限定する必要がありません。非限定用法を用います。
7. Let's meet on Monday, when I can take you there.
日にちや曜日なども非限定用法を用います。
8. She said she was a lawyer, which was true.
which の先行詞は文法上2通り考えられますが、この場合2. と考えるのが自然です。(状況によっては1. もありえます)
1.前の文全体の She said she was a lawyerが先行詞 なら「彼女が弁護士だと言ったことが事実だった」という意味になります。
2.先行詞は she was a lawyer で、「彼女は自分が弁護士だと言いました。それ(彼女が弁護士だということ) は事実でした。」という意味です。この場合、こちらが自然です。
ここ大事!
関係代名詞の that は色々なケースに使えますが、非限定用法には使えません。
✖ I met his mother, that is a writer.
コンマのある非限定用法(その他色々な呼び方があります)が分かっていない人が多く、4. のようにパリがたくさんあることになっているような間違いをよく見かけます。
感覚でコンマをつけたりつけなかったりするのではなく、限定用法と非限定用法について正しく理解したうえで使い分けましょう。
お読みいただき、ありがとうございます。
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