「時制」は「時」の情報だけではなく、色々なニュアンスを伴います。
英語の「過去形」と「現在完了形」には明確な違いがあるのですが、和訳だけでは違いが分かりにくいですよね。今回はその違いについてお伝えします。
ひと言でいうと、現在完了形 (have/has +過去分詞)は「現在」に視点があります。
4つの用法のうち、まずは「継続」「経験」の用法についての確認です。これらは比較的分かりやすいですよね。
継続:「ずっと~である/ない」
She has lived in NY for 10 years.(10年間ずっと住んでいる)
注)通常この用法では、状態動詞が使われる。動作動詞を使う場合、「現在完了進行形(have/has + been + doing)」が用いられるのが一般的。
ただし、動作動詞の中でも、learn / study / wait / stay などのように「一回の動作」ではなく、「一定期間行われる動作」を表す動詞は状態動詞と同じように「現在完了形」で「継続」の意味を表す。
「継続」をより強調したり、未来への継続を表す際に、「現在完了進行形」を用いる。
「経験」:「今までに~したことがある/ない」
Have you ever eaten that fruit? (今までに食べたことある?)
注)例外を除き ever は疑問文でのみ用いられ、否定文では never 、肯定文では before が用いられる。
「結果」の用法は、日本語ではひと言では表せませんが、英語では一文で済むので、とても便利ですね。
「結果」:「~してしまった(今もその状態が続いている)」
I have lost my watch. (無くしてしまい、まだ見つかっていない)
注) I lost my watch. のような過去形は、現在とは接点がなく、過去の出来事を述べているだけなので、現在は見つかったのか、それともまだ見つからないのかまでは分かりません。
ここ大事!
それでは、和訳だけでは分かりにくい「完了」の用法について説明します。この用法を使いこなせると、とても便利です。
「完了」:「~したところだ(今も影響がある)」
和訳だけでは分かりにくいので、過去形とどう違うのか比較してみましょう。
「完了」 We have made a contract with ~.(~と契約した)
「過去」 We made a contract with ~. (~と契約した)
「完了」は、現在もまだその契約が有効であることを暗示しています。
「過去形」は、「契約した」という事実を述べているだけにすぎず、「現在」どうなっているのかまでは分かりません。
「完了」 I have received your email regarding ~. (~を受け取った)
「過去」 I received your email regarding ~. (~を受け取った)
「完了」は「考慮します。調べます」など、これからの行為も暗示しています。
「過去」は、「受け取った」という事実だけを伝えています。
「完了」は、今後へ続いていくイメージもあるようですので、多くの場合、その後に「今から~します」などの、今後の行動を表す文が続くようです。
「時制」はとても奥が深く、ネイティブスピーカーの感覚を理解するのはなかなか難しいです(汗)。
よろしければ、こちらも参考にしてください。